裁判は三年半に及び、大阪高裁で勝訴が確定した。オウム信者は山科ハイツを去った。住民はねばり強い活動のなかで「連帯感」を深める。芽生えたムラ意識は「大規模修繕」でつなぎとめられた。理事長経験者のひとり、小西利和は言う。「ちょうど裁判が終わるころ、大規模修繕が迫って、当時の理事さんが、管理組合を仕事ができる集団にしよう、と頑張られました。わたしは水まわりの設備屋をしているのですが、建築の知識はすべて理事さんに伝えました。
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管理会社に丸投げしていた修繕工事を、徹底的に洗い直した。施工会社を選んでも、実際に仕事をするのは下請けの塗装会社や左官業者。どの職人さんが仕事をするかで違います。だったら、管理組合で専門工事業者を決めようと盛り上がりました」理事たちは、休日にマイクロバスに乗って外壁補修や屋上防水の現場を訪ね歩いた。管理組合がすべての業者を決め、一億七千万円を投じて大規模修繕を完遂する。オウム信者の入居で揺れたマンションは、ひとつずつハードルを越え、コミュニティーを成長させた。コミュニティーを育むには、三つの要素が必要だと気づく。一に「共通の目的」、二に「リーダーとその仲間」、三は「連帯感」。いくらかコストも必要だが、一から三が反応し合って実績が出て、やりがいが育まれれば、好循環が生じる。機能している管理組合の理事は、異口同音に「マンション管理はおもしろい。おとなのクラブ活動だ」と言う。